リン酸処理って何?どういった目的のためにするの?

リン酸処理って何?どういった目的のためにするの?

金属の表面保護のために施す処理

金属素材としては鉄が使用されることが多いですが、鉄は錆びを始めとする腐食に弱いです。腐食は最初は表面部分だけであっても、時間の経過と共に内部まで侵食する恐れがあるため、そのまま使用するのはリスクが高いです。そんな時に施されるのがリン酸処理で、薬液を使って金属の表面に膜を作り出すものです。リン酸の性質を持つ薬液の中に金属を浸せば、表面が化学反応によってリン酸塩へと性質が変化します。そのリン酸塩は小さな結晶の集まりで、何も処理を施していない状態の金属よりも腐食に強くなります。そんなリン酸処理は、自動車や建築など幅広い分野で使用されています。

塗装目的で施す場合も

リン酸処理はただ金属の表面を保護するだけではなく、塗装をするための下処理として施されることもあります。塗料の中には金属との相性が悪く、簡単に剥がれてしまうものも少なくありません。そこでリン酸処理を施すと、そのような塗料であっても密着しやすくなります。表面にできた結晶の凹凸で、塗料が隙間まで入り込んだり引っかかったりするという仕組みです。

さらに何もしない状態では金属はある程度の光沢があるものが多いですが、リン酸処理を施すと比較的色が濃く、いぶしたような見た目になります。そのため落ち着いたデザインとして金属を使いたい場合には、塗料を用いることなくリン酸処理だけで済ませることもあります。もちろんその場合でも表面を腐食から守るという働きは期待できるため、一石二鳥というわけです。

リン酸処理とは、リン酸塩の溶液を用いて金属の表面の腐食を抑える技術のこと。主に銅の表面を保護するために使われる技術です。